2024年10月31日に東京都千代田区飯田橋にある「公益社団法人 日本網膜色素変性症協会(JRPS)」を訪問してきました。
会や患者さんの特徴などについて今村伸也理事と菅谷久美子理事にお話を伺うことができました。
 公益社団法人 日本網膜色素変性症協会

会の特徴

 網膜色素変性症(RP)およびその類縁疾患(以下「網膜色素変性症等」と称する)の患者が約3,500人参加していて、各都道府県協会制をとっており、各地域の運営は地域の各都道府県協会が担当しているそうです。

また、全国の会員向けに二つの部会があり、今年20周年を迎える「ユース部会(16~35歳)」と、約2年前に設立された「ミドル部会(36~50歳)」があり、対面交流に加え、ZoomやLINEを利用したオンライン交流、宿泊企画や忘年会なども行われ、幅広い交流の機会が提供されているそうです。

ユース部会の皆さんは、見え方には個人差が大きい状況でありながらも、若い世代特有の悩みや困りごとなどの情報共有や意見交換を図りながら交流されています。

ミドル部会の世代になると、視機能の衰えから仕事や家庭での困りごとなどの相談が聞かれるようになり、ユース部会同様、同世代での情報共有や交流を図っています。 しかし近年は会員が減少傾向にあり、SNSやインターネットでの情報収集が可能になったことで、会員にならずとも同じ悩みをもつ方と繋がることや、情報の入手が容易になったことが理由ではないかと推測をされていました。

サポート対象疾患とサポート体制

 各地域の医療者と協力してサポートを行っているということです。
難病医療費受給者証の取得者は減少傾向にあり、手続きの煩雑さ、障がい者手帳を取得すると各市区町村の制度にもよりますが、等級によっては医療費の助成が受けられるので、これらがその一因ではないかと仰っていました。障がい者手帳や障がい者年金は、症状が進行するたびに更新をされているそうです。
活動は、各都道府県協会で行っていますが、各都道府県協会同士が協力してイベントを行うこともあるそうです。ユース部会、ミドル部会は、各都道府県協会を超えて全国で活動しています。

患者さんの特徴

 網膜色素変性症は、出生時から全盲というケースはまれで、視野が狭くなったり、見えにくくなったり、夜盲から症状が進行するのが一般的のようです。多くの場合、40歳前後で症状が悪化する傾向があり、転職や社内での配置換えなどを経験しながら働き続けるかたもいらっしゃるそうです。一方で類縁疾患の場合には突然視野が欠損したり、全盲になったりというケースもあり、そういったケースでは非常に大きなショックを受ける方が多いそうです。

訪問した時の感想

 この疾患は、iPS細胞での治験が数件あるだけで、まだまだ、治療法や進行を遅らせる根本的な薬がなく、全国各地の網膜色素変性症やその類縁疾患の方が世代を超えて交流し、情報共有やQOL向上、社会啓発活動を活発に行っていると感じました。世代別の部会もあり、同年代の方同士で共通の悩みや生活の工夫、進行状況に応じた治療法やサポート情報を話し合える場が提供されていて、安心して思いや困りごとを共有できる場所があることも印象的でした。

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