PRTIMESより2025年1月28日
カルビスタ ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社は、セベトラルスタット(sebetralstat)が厚生労働省による希少疾病用医薬品の指定を受けるとともに、同製品の承認申請を行ったことをお知らせします。セベトラルスタットは遺伝性血管性浮腫(HAE)の成人および12歳以上の小児患者を対象とした急性発作治療薬として開発中の経口投与可能な新規血漿カリクレイン阻害薬であり、承認されれば、日本で初めての経口HAE急性発作治療薬となる見込みです。
ちなみに、同疾患の治療薬は、武田製薬よりフィラジルとタクザイロいう商品名の自己注射薬と販売されています。
遺伝性血管性浮腫(HAE)とは
指定難病65の原発性免疫不全症候群の中に含まれる1疾患で、小児慢性特定疾病にも指定されています。
遺伝性血管性浮腫(HAE)の説明の前に、原発性免疫不全症候群の説明をします。
原発性免疫不全症候群(指定難病65)とは、
先天的に免疫系のいずれかの部分に欠陥がある疾患の総称であり、後天的に免疫力が低下するエイズなどの後天性免疫不全症候群と区別されています。そのため、原発性免疫不全症候群の中に色々な疾患が含まれています。国際免疫学会(IUIS)の原発性免疫不全症(PID)分類において、具体的な病名は以下のように分類されています。これらの病名は、免疫系の異常に基づいており、各疾患はその特性や遺伝的要因に応じて分類されています。疾患名は、難病情報センターの原発性免疫不全症候群(指定難病65)の概要・診断基準等タブと小児慢性特定疾病情報センターの免疫疾患の疾患一覧をご覧ください。
上記、遺伝性血管性浮腫は、原発性免疫不全症候群の先天性補体欠損症の中の1疾患で遺伝性血管性浮腫(C1インヒビター欠損症)と呼ばれる疾患です。血管浮腫は、(クインケ浮腫)とも呼ばれます。
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、どんな症状なの?
症状は、出現してから24時間後にピークとなり、数日続くといわれています。皮膚(手足、顔面、生殖器など)が腫れた場合は一見すると「じんま疹」に似ていることがありますが、強いかゆみを伴わないのが特徴です。のどが腫れる場合は嚥下困難、胸が締め付けられるように痛い、声が変わる、声がかすれる、発声しづらくなり時に呼吸困難におちいり、生命の危険をきたす可能性があります。また、お腹(胃や腸)が腫れると腸閉塞と同様に嘔吐したり、強い痛みを感じることがあります。
原因は?
HAEは、体の中でブラジキンという物質が過剰に増えて、血管性浮腫が起こる稀な病気です。C1-インアクチベーター(C1-INH)の量が少なかったり、うまく働かないとブラジキンが増えてしまいます。C1-INHが欠損/機能障害によるもの(Ⅰ型、Ⅱ型)とC1-INHが正常のもの(Ⅲ型)に分類されます。抜歯などの歯科治療や外科治療、ストレス、病気、月経などが発作の引き金になりやすいといわれています。
発症年齢は?
個人差がありますが、10歳から20歳代に発症することが多いといわれています。
治療法は?
わが国では現在、「ブラジキニン受容体阻害薬」と「C1インヒビター製剤」による治療が保険適応となっています。
参照URL
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)情報サイト HAE-info
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)診断コンソーシアム
- 国立成育医療研究センター 血管性浮腫・遺伝性血管性浮腫(HAE)
- 武田製薬工業(株)腫れ・腹痛ナビ―遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト―
- 遺伝性血管性浮腫患者会 HAEJ