共遊玩具(きょうゆうがんぐ)は、障害の有無にかかわらず、すべての子どもたちが楽しく遊べるように設計された特別なおもちゃです。日本の玩具業界が社会貢献の一環として推進しており、目や耳の不自由な子もそうでない子も、障害の有無にかかわらず、楽しく遊べるよう「配慮」が施された玩具で、一般の方に使ってもらえるように造られ販売されるものをいいます。
共遊玩具の歴史と発展
共遊玩具の取り組みは1990年に始まりました。日本玩具協会が中心となり、目や耳の不自由な子どもたちも共に遊べる玩具を普及・促進するための委員会が発足しました。
障害のある子どもたちが一般の子どもたちと一緒に遊べる環境を作ることを目指して作られた団体です。
当時、お子さんを抱えるご家族や特別支援学校の先生から、「市販の玩具には、目や耳に障害のある子供が楽しめる玩具が少ない」との声が寄せられていたとのことで、「共遊玩具」は、こうした声にこたえようと開始された取組とのことです。
また、2019年には、共遊玩具の取り組みが評価されて「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 内閣総理大臣表彰」を受賞しました。
共遊玩具の特徴
ユニバーサルデザイン
共遊玩具は、視覚や聴覚に障害のある子どもたちも楽しめるように、以下のような工夫が施され設計されています。
- 視覚障害への配慮: 点字や触覚で識別できるマーク、音声ガイド、振動機能などを搭載している
- 聴覚障害への配慮: 光や振動、文字表示などで音や音声の代替となる情報を提供している
一般市場向け
共遊玩具は特別な販路ではなく、一般の玩具店で購入できるように設計されています。これにより、すべての子どもたちがアクセスしやすくなっています。
認定制度
共遊玩具は、日本玩具協会が定める「共遊玩具ガイドライン」に基づいて審査され、認定されます。認定されたおもちゃには、視覚障害者向けの「盲導犬マーク」や聴覚障害者向けの「うさぎマーク」が付与されます。
認定マークと種類
共遊玩具には、その特性を示す2種類のマークが付けられています
- 盲導犬マーク: 視覚障害のある子どもたちも楽しめるおもちゃ(晴盲共遊玩具)
- うさぎマーク: 聴覚障害のある子どもたちも楽しめるおもちゃ
これらのマークは、商品のパッケージに表示され、消費者が容易に識別できるようになっています。
盲導犬マークの特徴
盲導犬マークは、視覚障害のある子どもたちも楽しめるおもちゃで以下の特徴があります。
- 遊びの基本操作
- 起動: 電源スイッチやボタンのON/OFFが視覚に頼らず確認できること。例えば、電源スイッチのON側に凸表示を設ける。
- 設定: 遊ぶ際の設定(準備)が視覚を使わずに行えること。必要に応じて、音声や点字による取扱説明書を提供。
- 識別: スイッチやボタンの機能や位置が触覚や音声で識別できること。例えば、形状や大きさの違い、点字表示など。
- 安定して遊べること
- 手で触った時に簡単に崩れたり外れたりせず、安定して遊べること。例えば、倒れにくく、崩れにくい設計。
- 移動する玩具の位置がわかるか
- 玩具が移動する場合、その位置が視覚に頼らずに分かり、再び手にすることができること。例えば、音声や振動で位置を知らせる機能。
- 玩具メーカーの意図した遊びができるか
- 玩具のパッケージや取扱説明書に記載されている「意図された遊び」を理解し、楽しめること。
うさぎマークの特徴
うさぎマークは、聴覚障害のある子どもたちも楽しめるおもちゃで以下の特徴があります。
- 音や音声の内容が重要な要素である玩具
- 音や音声が遊びの重要な要素となっている場合、光や振動、文字、絵などでその内容が理解できること。
- 遊びの基本操作
- 起動: 電源のON/OFFが光や振動などの聴覚を使わない方法で確認できること。
- 設定・操作: 音や音声で表現されている効果や内容が聴覚を使わない方法で理解でき、設定や操作ができること。
- 結果の確認
- ゲームの結果(勝敗や点数など)が聴覚を使わずに確認できること。例えば、光や文字表示で結果を知らせる。
- 玩具メーカーの意図した遊びができるか
- 玩具のパッケージや取扱説明書に記載されている「意図された遊び」を理解し、楽しめること。
共遊玩具の例
一般社団法人日本玩具協会さんのおもちゃカタログをにてご紹介いたします!
目や耳の不自由な子どもたちも一緒に楽しめるおもちゃカタログ (共遊玩具カタログ)
まとめ
共遊玩具は子どもたちの成長と学びを支援し、社会全体のバリアフリー意識を高める重要な役割を果たしているとおもいました。盲導犬マークとうさぎマークは、使用するユーザーにとって判断しやすいシンボルとなっていることがわかりました。
共遊玩具の取り組みは、障害の有無にかかわらず、すべての子どもたちが楽しく遊べるように設計された特別なおもちゃであり、とても大切な取り組みです。これからも、子どもたちの笑顔を増えて、共遊玩具の活動がさらに発展していくことを願っています。