中国の南開大学、北京大学などを含む中国の研究チームが、1型糖尿病患者が自身の細胞から生成した膵島細胞で75日後にインスリン不要を達成したと発表した。
この研究では、1型糖尿病患者自身の細胞から多能性幹細胞を作り、膵島細胞を生み出した。これをその患者の腹部前直筋鞘に移植した。
結果、移植して75日後、インスリンからの自立を達成することができた。その後、1年間の追跡期間中、患者はインスリン不要を維持していたのだという。また、臨床データは移植に関連した異常を示すことはなかったとのことです。
研究論文はこちら(英語です)
1型糖尿病とは
日本では、小児慢性特定疾病に指定されている難病です。自己免疫の異常によって、自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、自分自身のインスリン工場、膵臓にある膵島β細胞、の大部分を破壊してしまうことで発病します。
膵島β細胞が破壊されると
自分の体の中でインスリンを作ることができなくなってしまいます。インスリンがないと、ブドウ糖(グルコース)を細胞に取り込むことができず、血管のなかにブドウ糖があふれかえることになってしまいます(高血糖)。ブドウ糖は細胞のエネルギー源として大切なものですが、高血糖状態が続くと、様々な形で血管の壁に溜まり、糖尿病特有の合併症につながります。
ではどうやって生活すればよい?
そのため 1型糖尿病では、膵臓移植や膵島移植を受けるか、血糖測定をしながら、生涯にわたって毎日数回のインスリン自己注射またはインスリンポンプと 呼ばれる医療機器による注入を続ける以外に治療法はありません。
発症年齢は?
若い方を中心に幅広い年齢(0~14歳)で発症します。年間発症率は、10万人あたり2人程度で、北欧の国と比較すると約30分の一と言われています。これは、遺伝因子と環境因子の違いによるものと考えられています。
小児期を中心にどんな年代にも起こる原因不明の難病であることに加え、治療を厳密に行わないと心臓、腎臓、眼、神経等の合併症が併発しますので、患者本人の苦痛はもとより、患者家族にとっての精神的、経済的負担は多大なものとなっています。
参考:日本IDDMネットワーク