「難病プラットフォーム」とは
「難病プラットフォーム」とは、日本医療研究開発機構(AMED)と厚生労働省の難病研究班が収集した、難病の情報を集めている公的なデータベースです。集めた情報は研究者がシェアして使うなど、日本の難病研究を進めるために使われます。難病プラットフォームは、AMEDが取り組んでいる「難治性疾患実用化研究事業」の研究費によって運営されています。
AMEDが取り組んでいる「難治性疾患実用化研究事業」と、厚生労働省取り組んでいる「難治性疾患政策研究事業」には、多くの難病研究班が関わっているので、難病患者さんの遺伝子情報などさまざまなデータが集められています。しかし、それぞれの疾患の情報は各疾患の難病研究班が個別に管理しているのが問題です。研究者達は、他の疾患の研究班がどんな情報を集めているのかを知らないこともあります。
こうした課題を解決するために、AMEDはさまざまな疾患の情報を集めるための情報統合基盤である「難病プラットフォーム」を構築するための研究を始めました。各疾患の難病研究班がこの難病プラットフォームを使用することで情報収集を効率化し、さらにはデータの品質保証にもつながると考えられます。
将来的には、情報へのアクセス性が向上し難病の診断や治療技術のための研究が進むことも期待できるため、難病患者さんの生活の質の向上にもつながるでしょう。
出典:https://www.raddarj.org/siteinfo/
難病プラットフォームでは、どんな研究が行われているの?
難病プラットフォームでは、各疾患の難病研究班がデータをシェア(共有)できる情報基盤の構築を目指しているそうです。それぞれの研究班とプラットフォームが共有した情報は、「データ共有ガイドライン」に基づいて、制限共有データ、制限公開データ、非制限公開データに分類されます。このうち制限公開データについては公開データベースなどに公開されます。また、非制限公開データについては各難病研究班の研究課題に関するレジストリ・バイオレポジトリ一覧としてウェブサイトにて情報公開されます。データを共有した元の難病研究班が提供を許可したデータは、二次利用や各難病研究班と第三者研究機関との共同研究にも使われます。
難病プラットフォームは、「臨床情報統合部門」「ゲノム情報統合部門」「人情報管理部門」の3つの部門で構成されます。臨床情報統合部門は、各難病研究班でのレジストリの構築や運営を支援します。その他にも、それぞれの難病研究班が持っている患者さんの情報や、患者さんの体から得られた試料の情報の解析を行います。
ゲノム情報統合部門は、疾患を解析するツールや疾患の解析に利活用できるような遺伝子の情報を提供しています。また、各難病研究班が持っている遺伝子の情報をシェアして解析を試みます。最後に、個人情報管理部門は、難病研究班と共有した個人情報を管理しています。管理の結果を他の2つの部門に通知します。
また、難病プラットフォームでは難治性疾患研究事業の研究課題に対して「研究課題調査」というアンケート調査も実施しています。調査結果の中でも公開可能な情報はホームページに情報をアップロードしています。以前に行った調査の結果では、多くの研究班が「企業と連携したい」と考えていることが明らかになりました。
出典:https://www.raddarj.org/data-sharing/
難病研究班が持っている基礎研究の成果物や患者さんの情報は、企業で研究している方々からの要望も高まっているようです。また、臨床治験(治験)や薬が承認された後の調査の際に患者レジストリの活用が見込まれていることからも、研究班と企業の連携が今後ますます重要になりそうです。
難病プラットフォームでは、難病プラットフォームと連携する研究班と、製薬企業をつなぐ「企業マッチング」も実施しています。産学連携の共同研究促進が進むよう期待しています。