医療法人医誠会の医誠会国際総合病院難病医療推進センターは、関係機関と連携し、大阪府で初めてとなるポンぺ病患者への点滴による在宅酵素補充療法を開始しました。この治療法は、ポンぺ病を含むライソゾーム病患者の通院負担を軽減し、患者とその家族の生活の質向上を支援することを目的としています。
在宅治療に至った経緯
ポンぺ病はライソゾーム病の一種で、全身の筋力低下から歩行障害や呼吸障害が進行する疾患です。患者は外出時に移動用車椅子を使用するため、常に家族の付き添いが必要となります。また、定期的な病院通院と3〜4時間を要する点滴治療は、患者家族にとって大きな負担となっていました。
今年4月に患者本人から在宅治療の希望があり、難病医療コーディネーターとの協力を経て関係機関と連携し、複数回のカンファレンスを重ねた結果、10月15日に初回の在宅酵素補充療法が実施されました。初回は溶解時に異物が疑われる事態もあったとのことですが、無事に点滴治療を完了することができたとのことです。
関係機関との連携体制
この在宅治療の実現には、医誠会国際総合病院難病医療推進センターを中心に、以下の関係機関との連携が不可欠だったとのことです。
- 難病医療コーディネーター、地域保健師、医療ソーシャルワーカー:在宅治療に必要な医療機関や各機関との連携をサポートし、診療がスムーズに進むよう調整
- 訪問看護ステーション:在宅点滴実施時のケアを担当し、点滴前後のバイタルチェックやルートキープ、抜去作業を実施
- 医薬品卸企業:専用車と特殊な専用容器を使用して薬剤を安全に配送し、必要に応じて薬剤回収などの柔軟な対応を実施
今後の展望
今回の在宅点滴治療の成功は、患者と家族に大きな安心と負担軽減をもたらし、在宅治療の新たな可能性を広げる一歩となりました。在宅酵素補充療法は海外では実施例があるものの、日本国内では希少難病の治療としてまだ広く普及していません。
医誠会国際総合病院難病医療推進センターは、この成功例が広く知られることで、より多くの患者が自宅で安心して治療を受けられる環境の実現を目指しているとのことです。
医療法人医誠会について
医療法人医誠会は1979年に大阪市で創立され、ホロニクスグループとして大阪を中心に全国で医療施設を運営しています。医誠会国際総合病院は47診療科、総職員数1,893名の体制(2024年4月現在)で、先進的かつ国際標準の総合病院を目指しています。救急医療では24時間365日体制で「断らない救急」「待たせない救急」をスローガンに取り組み、令和3年度の救急搬送件数は大阪府第1位、全国第10位を記録しています。
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