キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄)は、開発中の脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン」(一般名、開発番号:KPS-0373)について、追加の第Ⅲ相臨床試験を開始したことを発表しました。
開発の経緯
同社はこれまでに実施した2つの第Ⅲ相臨床試験および併合解析の結果から、国際的に用いられているSARAスコアにより、脊髄小脳変性症における運動失調に対して初めて改善効果が検証された薬剤であると判断し、2021年12月22日に製造販売承認申請を行いました。
しかし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)より、この臨床試験データでの承認は困難であるとの見解が示されたため、2023年7月19日に承認申請を一旦取り下げました。その後、追加臨床試験の実施可能性について検討を重ね、PMDAとの協議により臨床試験計画が受け入れられたことから、今回の追加第Ⅲ相臨床試験の開始に至りました。
SARAスコアについて
SARAとは「Scale for the assessment and rating of ataxia」の略で、脊髄小脳変性症等における運動失調の半定量的な評価方法です。歩行、立位、坐位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内回外運動、踵すね試験の8つの評価項目から構成され、国際的に使用されています。8つの評価点を合計し40点満点で、無症状が0点、最重症が40点と評価されます
臨床試験の概要
今回実施する臨床試験では、脊髄小脳変性症患者を対象に、ロバチレリンを経口投与したときの運動失調の改善効果について、プラセボに対する優越性を二重盲検法により検証します。
薬剤の特徴
ロバチレリン(KPS-0373)は、塩野義製薬株式会社が創製した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)誘導体です。中枢神経系に分布するTRH受容体に結合して、ドパミンなどのモノアミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質の遊離を促進することで、神経系を活性化させる作用を有しています。これにより、脊髄小脳変性症患者の運動失調の改善が期待されています。
脊髄小脳変性症について
脊髄小脳変性症は、小脳または脊髄などの神経細胞が徐々に脱落し、運動失調症状をきたす神経変性疾患の総称です。厚生労働省の定める指定難病であり、国内で3万7000人程度の患者が認定されています1。
現在、この疾患に対する根本的な治療法はなく、諸症状に対する対症療法が行われているのが現状です。公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団及び日本神経治療学会の協働で実施された「神経疾患に関する医療ニーズ調査」では、脊髄小脳変性症に対する治療満足度及び薬剤貢献度はいずれも低く、「新規治療法の開発が急務な疾患」として報告されています。
キッセイ薬品工業は、ロバチレリンを脊髄小脳変性症治療の新しい選択肢として提供できるよう、開発に注力していくとしています。
ソースURL: https://www.kissei.co.jp/news/2025/20250314-5014.html