株式会社イノフィスは、東京理科大学発のスタートアップ企業で、アシストスーツ「マッスルスーツ Soft-Power」を開発・販売しています。2024年12月、千葉県で訪問介護サービスを展開する陽なたスマイルケア株式会社がこのアシストスーツを導入し、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病患者の介護における介護者の身体的負担軽減に成功した事例が報告されました。

難病患者介護の課題

陽なたスマイルケア株式会社は千葉県内で「訪問介護みかん」を運営し、ALSなどの進行性難病や重度障害を持つ方々への在宅介護サービスを提供しています。ALSは進行すると自力での体動が困難になるため、介護者は利用者の全身を支えながら移動や体位変換を行う必要があります。

特にALS患者は筋力が低下して寝返りすら困難なため、介護者が全身を支える必要があり、腰に強い負担がかかります。在宅介護では限られたスペースでの作業となるため無理な姿勢を強いられることも多く、人工呼吸器使用者の場合はチューブの位置に注意しながら慎重に動かす必要があるなど、通常の介助以上の集中力が求められます。

アシストスーツ導入の経緯

陽なたスマイルケア株式会社の縄田直子代表取締役は、介護者の腰への負担が深刻な課題となっていたと説明しています。実際に腰を痛めた職員が退職に至るケースも発生しており、これまではサポーターやコルセットを使用していたものの、装着の不便さや暑さによる不快感から十分な対策にはなっていませんでした。

導入にあたっては複数のアシストスーツを試しましたが、大きさや価格、使い勝手の面で課題がありました。特にフレームのあるタイプはスペースの制約やコスト面から訪問介護の現場では実用性が低いと判断されました。

マッスルスーツ Soft-Powerの効果

イノフィス社の「マッスルスーツ Soft-Power」は、軽量で装着しやすく、一日中着けていても負担にならない点が高く評価されました。実際に使用したヘルパーからは「後ろから支えてくれる感覚があり、踏ん張らなくても姿勢を保てる」との声が上がり、おむつ交換や体位変換時の腰への負担が大幅に軽減されたと実感しています。

特に、夕方になると疲労から腰の痛みが出ていた職員が「痛みが出なくなった」と報告していることは、大きな導入メリットとなっています。

製品の特徴

「マッスルスーツ Soft-Power」は電気不要で、屋内外問わず様々な作業シーンで活躍するサポータータイプのアシストスーツです。マッスルスーツシリーズで培った人工筋肉のアシスト技術をサポーターの背面部に組み込むことで、サポータータイプでは最強クラスの補助力を実現し、腰の負担を35%軽減します。

製品の価格は59,400円(税込)で、サイズは1サイズ(適用身長:150cm~190cm、ウエストサイズ:フリー)となっています。

今後の展望

陽なたスマイルケア株式会社では、今後も「マッスルスーツ Soft-Power」を活用し、職員の負担軽減を図ることで、休職や離職のリスクを低減し、安定した介護サービスを提供していきたいと考えているとのこと。

訪問介護は利用者との信頼関係が大切な仕事であり、介護者が健康で働き続けられる環境を整えることで、利用者に安心していただけるサービスの提供につながると期待しています。また、この取り組みを通じて、より多くのヘルパーが安心して働ける職場づくりを進め、「訪問介護みかんで働きたい」と思える環境の実現を目指していますとのこと。

ソースURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000041785.html

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