難病と向き合う家族の思いから生まれた患者家族会「ZENPE(ゼンペ)」が本格始動しました。前庭水管拡大症およびペンドレッド症候群の患者とその家族を支援するこの会は、2年半の準備期間を経て、いよいよ活動を本格化させていきます。

以前、立ち上げに関する打ち合わせを実施いたしました。以下ご参照下さい。

ZENPEとは

ZENPEは「病気を知り、自分を知る。その先の【ありたい姿】を創造するための会」として設立されました。前庭水管拡大症とペンドレッド症候群という聴覚や平衡感覚に影響を与える疾患に関する情報提供や患者家族の交流を目的としています。

この会の代表である大島美和さんは、娘さんが生後間もなく前庭水管拡大症と診断されたことをきっかけに、同じ悩みを持つ人々のために情報を広く届ける仕組みを作りたいと考え、娘さんが生後半年の頃に患者家族会の設立を決意されました。

「この疾患は個人差が大きく、自分の取説をいかに作るかが大切。障がいは乗り越えるものではなく、一生付き合っていくもの。だからこそ、持って生まれたものと共に、その人がその人らしく最高な人生を!」という想いで活動を行っています。

設立記念イベント開催のお知らせ

ZENPEでは、6月8日(日)に設立記念イベントを開催します。

オンラインとリアル(東京・麹町のライフルテーブル)で同時開催され、参加費は一般3,500円会員3,000円となっています。

イベントは13時~16時まで行われ、難病や難聴について全く知識がない方にも参加していただきたいとお聞きしております。大島代表は「難病=可哀想」というイメージを払拭するため、オシャレでカッコいいイメージ作りを心がけており、イベントの開催地もテラスがある都内の素敵なカフェで行うとのことです。

イベント概要

  • イベント名:ZENPE設立記念イベント
  • 日時:2025年6月8日 13:00-16:00(受付12:30-)
  • 参加費:一般 3,500円、ZENPE会員 3,000円(ワンドリンク付)
  • 司会:宮川浩子氏
  • 場所:LIFULL Table(東京都千代田区麹町1丁目4-4、東京メトロ半蔵門線 麹町駅 徒歩7分)
  • 特徴:手話通訳・要約筆記あり、キッズスペースあり、おむつ台あり

参加者・登壇者

ZENPE医療顧問医師大集合

ZENPEは「前庭水管拡大症」や「ペンドレッド症候群」を第一線で、研究・診察されている
医師の皆さまに顧問医師としてご協力いただいており、当イベントにもご参加されます。

医師一問一答

疾患に関する質問にお答えします!

ZENPE代表顧問医師 松永 達雄先生

  • 国立病院機構 東京医療センター 
  • 臨床研究センター 聴覚平衡覚研究部 部長 
  • 臨床遺伝センター センター長

ZENPE顧問医師 藤岡 正人先生

  • 北里大学 医学部 分子遺伝学 教授
  • 北里大学 北里研究所病院 耳鼻咽喉科(兼担)
  • 慶應義塾大学 再生医療リサーチセンター 訪問教授

ZENPE顧問医師 瀬戸 由記子先生

  • 東邦大学大森病院 耳鼻咽喉科 准修練医 小児難聴外来
  • 聖徳大学教育学部 兼任講師

当事者からのメッセージ 持病を乗りこなす生き方

皮膚科医として活躍しながら、前庭水管拡大症という持病と向き合う竹原湧人先生が登壇!持病と「共に生きる」のではなく「乗りこなす生き方」とは?医者としての専門知識と、当事者だからこそ分かるリアルな葛藤や気づきをユーモアたっぷりに語ります。

前庭水管拡大症の当事者・医師 竹原 湧人先生

  • 名古屋医療センター 皮膚科医師

疾患への対処法を学ぶ

健聴者の夫と難聴者の妻の日常生活あるあるを実演と解説を交え説明いたします。

ペンドレッド症候群の当事者
訪問看護師 関口 桃子先生

  • 看護師・在宅看護指導士・終末期ケア専門士

健聴者・看護師 関口 慎吾 先生

その他

  • 聞こえを支える国内トップブランドの一つ「リオネット補聴器」と、きこえない人ときこえる人を電話でつなぐ「電話リレーサービス」が企業展示ブースに登場!

協賛企業

  • リオン株式会社 リオネット補聴器
  • 一般財団法人日本財団電話リレーサービス
  • ノーベルファーマ株式会社
  • ニュージャパンヒヤリングエイド(NJH)
  • NPO法人 難病ネットワーク 
  • 壁掛けアート専門店東京アートラボ

疾患について

前庭水管拡大症

先天性の内耳奇形の一つで、前庭水管の拡大に伴い感音難聴を呈する疾患です。個人差はありますが、主な症状として以下の3つが認められます:

  • 聴力の変動
  • 進行性の難聴
  • めまい

聴力低下やめまいは頭部打撲やいきみなどにより誘発されることがあります。明らかな誘因がなくとも聴力低下がみられる場合があるため、自覚症状を訴えることの難しい乳幼児期から定期的に聴覚検査を受けることが大切です。

ペンドレッド症候群

両側で前庭水管の拡大と蝸牛のモンディーニ奇形を認めることが多く、前庭水管拡大症の症状に加え10歳頃から甲状腺腫が認められる場合が多いです。その一部では甲状腺機能低下も伴います。日本人では大部分の患者でSLC26A4遺伝子の病的変化が認められ、日本では1万〜2万人ほどの患者がいるとされています。

医療専門家の支援

ZENPEは、この疾患の研究班の代表者でもある国立病院機構東京医療センターの松永達雄先生が代表顧問医師として協力しています。さらに、初の治療薬になるかもしれないシロリムスを治験している北里大学の藤岡正人先生、大島さんのお嬢さんの主治医である東邦大学の瀬戸由記子先生も顧問医師を務めています。

NPO法人化と難病ネットワークの支援

ZENPEはNPO法人の申請中という段階となっており、NPO法人難病ネットワークも患者会の立ち上げを支援しています。難病ネットワークはこれからもZENPEの活動支援、この疾患に関心のある方々に向けての情報提供を行っていく予定です。

会の目標と活動

ZENPEは「新薬の国内承認」と「指定難病化」を2大目標に掲げ、疾患の認知度向上と患者家族が支え合える環境づくりに取り組んでいます。

現在、この疾患は情報も少なく、治療法も治療薬もない状況です。ZENPEはこの現状を変えるため、以下のような活動を行っていくとのことです。

  • 疾患情報の分かりやすい発信
  • 患者家族の交流の場の提供
  • 医療専門家との連携
  • 会員制ウェブマガジンの発行(経験談やインタビュー、耳に関する助成金など多彩な記事を掲載)

応援方法

ZENPEでは様々な形での応援を呼びかけています。

▪️イベント参加で応援
(リアル/オンライン同時開催)
 https://mag.zenpe.jp/event/kickoff/
▪️イベントのボランティアで応援
 https://zenpe.jp/contact/
▪️会員になって応援
 https://zenpe.jp/joinus/ 
▪️寄付で応援
 https://zenpe.jp/donation/

「患者数の少ない疾患だからこそ、皆様が応援や声を上げてくださることで、小さな種が大きな花に変わり、認知度の低い疾患の存在を社会にアピールできる」と考えています。

詳細はZENPEのホームページ(https://zenpe.jp/)でご確認いただけます。

この患者会の活動が、前庭水管拡大症やペンドレッド症候群と診断された方々やそのご家族の支えとなり、社会的認知の向上につながることを願っています。

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